研究課題/領域番号 |
02555104
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
魚本 健人 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80114396)
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研究分担者 |
宇野 祐一 ショーボンド建設(株), 技術研究所, 主任研究員
白木 亮司 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80196617)
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キーワード | 劣化診断 / 鉄筋コンクリ-ト / 診断システム / 非破壊検査 / エキスパ-トシステム |
研究概要 |
本研究では既設の鉄筋コンクリ-ト構造物を対象として、その劣化度を判定し、余寿命の予測ならびに補修時期の判定を行うための客観的な劣化診断システムを開発しようとするものである。考慮する対象の劣化現象としては(1)鉄筋腐食、(2)中性化、(3)アルカリ骨材反応、(4)疲労などである。しかし、各々の劣化現象は異なった原因で生じているため、それぞれの劣化に対応した判定が必要となる。今年度はこれらの劣化に対して本劣化診断システムを適用する場合に重要となる個々の劣化程度を測定する手法に関する検討を実施し、それぞれの劣化を評価する方法として次のことが明らかとなった。 (1)の鉄筋腐食では、著しい腐食が生じない場合には自然電位の測定が適しているが、著しい腐食の場合には鉄筋に沿ったひび割れの発生がよい指標となる。この場合には赤外線カメラが適しており、目視による錆汁の観察も参考となる。(2)の中性化そのものはコアによる試験が最適である。しかし、中性化は鉄筋腐食の問題と、コンクリ-トの組織変化の問題とがあり、コア採取以外の方法では前者では(1)と同様な方法が、後者は超音波の伝播速度計測がある程度までは有効である。(3)アルカリ骨材反応は、コアによる試験が最適である。しかし、アルカリ骨材反応の結果としての膨張ひび割れは目視または赤外線カメラで、全体としての劣化程度は超音波試験がある程度有効である。(4)の疲労は部材のエネルギ-吸収量で判定することが最も望ましく、唯一の方法はアコ-スティック・エミッションによる計測があるが、常時モニタリングを実施することが必要で、通常の構造物では適用が難しい。 以上の結果を考慮して、次年度はそれぞれ最も有効な測定方法を用いた劣化診断用エキスパ-トシステムを作成し、実構造物による検証を実施する。
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