研究課題/領域番号 |
02555106
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川村 満紀 金沢大学, 工学部, 教授 (20019730)
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研究分担者 |
五十嵐 心一 金沢大学, 工学部, 助手 (50168100)
鳥居 和之 金沢大学, 工学部, 助教授 (50115250)
梶川 康男 金沢大学, 工学部, 教授 (00089476)
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キーワード | 破壊靭性 / 界面領域 / 摩擦応力 / 集束繊維 / 引張軟化曲線 / 新素材繊維 |
研究概要 |
繊維補強コンクリ-トの強度および靭性を支配する要因の一つである繊維ーマトリックス間の付着特性とその界面領域の組織と形成過程に着目して、一連の実験を行った。得られた結果は以下のとおりである。 1.繊維の付着特性は繊維ーマトリックス界面領域の破壊靭性と付着破壊面に作用する摩擦応力の2つのパラメ-タ-により表わされる。 マトリックスの配合を変化させることにより、緻密な界面領域を形成させることができても、必ずしもこれは破壊靭性の増大を意味するものではない。 2.界面領域の破壊靭性が小さい場合においても、強い摩擦力が作用するならば、繊維の荷重負担は保持され、引抜きエネルギ-は増大する。 3.界面の付着破壊の進行は、界面領域全体の破壊をもともないながら進行するようであり、骨材の混入はこの進行に対して重大な影響を及ぼす。 4.集束タイプの繊維を用いた場合、界面領域の組織は単体タイプの繊維の場合とは異なるようである。この場合、一部の繊維に関しては、集束剤が界面領域のセメントの水和反応過程に影響を及ぼすことが考えられる。 5.繊維の引抜き試験から得られる引抜き荷重ー変位曲線をマトリックスの引張軟化曲線に重ね合わせることにより、比較的簡便に繊維補強セメントの変形挙動を有限要素解析により推定することは可能であった。 以上の結果を得る過程において、マトリックスの配合の変化によって、破壊靭性を増大させる場合、摩擦力を増大させる場合およびその両者を増大させる場合のあることが明らかとなった。したがって、高強度・高靭性の繊維補強コンクリ-トを得るためには、マトリックスの配合をより詳細に検討し、この両者を十分に増大させる効果的な方法を見つけることが重要であり、これを今後の一課題として行うこととした。
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