研究概要 |
本年度の研究内容は,高負圧型テンシオメ-タ-の試作に関わるものと,これを用いて来年度から実施する現場測定の結果を解析する理論とその経算機プログラムの開発に分けられる。前者は,当初は製作を全面的に業者に発注する予定であったが,やはり試作機であるので試行錯誤が多く,結局は概略の加工を業者に依頼し,調整と手直しを当方で行う部分もあった。そのために分成が多少遅れている。試作機の主な問題点は,本来正圧用に作られたピストン・シリンダ-を負圧用に使うために,真空圧の漏洩が防止しにくい点である。負圧水を地中に循環させるという本研究のアイデアは,もう少し試行錯誤を重ねないと実用の域に達しないと思われる。 次に次者の,地盤挙動解析用の理論とそのプログラム開発については理論面で新たな発展を見た。すなわち,従来,われわれが提案していた構成式は,土粒子同士の接点だけにメニスカス水が存在するモデルを表わしたものであるので,飽和状態へと連続的にすりつけられていなかった。しかし,日本の地盤は,降雨により飽和度が非常に高くなるものが多いので,高飽和度における構成式の挙動は解析の精度に大きな影響を及ぼす。構成式が広範な飽和度の土に適用できるようにすめために,土の空隙に占める飽和領域の割合を表わす係数Rを導入して,Rが1の時はビショップの有効応力式に,RがOの時はわれわれが従来提案した式に一致すると仮定した。Rを適当に仮定することにより,複雑な不飽和土の挙動をうまく表すことができるようである。現在は,この新しい式の性能を室内三軸試験で検討している。
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