研究概要 |
本研究の当初の計画は,(1)高負圧型テンシオメ-タ-の試作,(2)その性能試験,(3)現地での地盤サクションの長期測定,(4)前項をデ-タ-とする異常気象時における斜面安定予測法の確立(プログラム開発),であった。2ヶ年が経過しようとしている現況を概観すると,(1)は地中埋設体のバルブ以外は所期の目的を達した。(2)は終了したが,前項のバルブを改良すれば再開することになる。(3)は,種々の理由で途切れ勝ちである。(4)は,その根拠となる理論の一部を改良する必要があることが判った。以下に,各項に関する平成3年度における実績を述べる。 1)高負圧型テンシオメ-タ-:地上本体と地下埋設体より成る。本体は,しょい子にとり付けて実用性に優れている。しかし,地中埋設体は地上からの遠隔操作時に,バルブの作動が不確実で,内部水量の変化を引き起したり,また長期静置時に空気の侵入を許している疑いがある。今年度後半は,この改良方法を研究した。 2)性能試験:土槽内のサクションを制御する方法を確立した。これによって,バルブの問題点が判明した。 3)現地測定:地中埋設体のバルブの問題のほかに,埋設体から地上に出している2本のシンフレックス管と,電線の端部を保護収納する方法が確立していない。現在は,臨時の処置として,既製の木箱を地表から半分埋め込んで,その中に収納しているが,測定時の本体との接続に手間がかかり,また,放置期間中のいたずらに無防備である。システム全体の製品化という観点からは,最も遅れている。 4)斜面安定予測法の開発:その理論的根拠の一つである「土の全応力〜サクション〜含れ比〜ひずみ関係式に,従来の軽部の提案式を用いると,飽和度が100%から低下し始める過程を全面的には説明できないことが判明した。この改良は本研究の主題ではないが,避けて通れない。
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