研究概要 |
限られた空間内における火災の基本的構造を明らかにするための第一段階の研究として,小型の正方形ダクト(20cm×20cm)を用い,内部で紙試料(8cm×100cm)を一端から点火燃焼させ,燃え拡がり速度とそれに影響を及ぼす諸条件について検討を加えた。得られた結果を要約すれば次のようである。 1.空間の閉鎖性の影響 開放空間での燃焼と比較することにより、空間の閉鎖性の影響を調べた。この結果によれば、ダクト内での燃え拡がり速度は開放空間でのそれと異り、燃焼性の試験法についての重要な知見が得られた。 2.ダクト内の紙試料の位置の影響 紙片の高さが増すにつれ燃え拡がり速度は速くなるが,ダクト天井面下約1cmの所で最大値を示した後急激に低下する。このこともケ-ブルその他の可燃物の燃焼,その対策を考える上で重要である。 3.ダクトの勾配の影響 勾配の増加とともに浮力の効果が大きくなり、燃え拡がり速度が増大する。この速度は燃焼初期と後期で異る。 4.ダクトの一部が上向に傾斜した場合 傾斜部の存在による浮力の効果が生じるが,その影響はいわゆる鉱山の自然通気圧計算法は適用できない。 5.温度分布について 紙片の上下面の温度については,一般に下面の温度が上面より高く,その差は600℃にも達するという興味ある知見を得た。またダクト内天井付近の温度分布測定から、いわゆる熱成層の存在を明らかにした。
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