研究概要 |
中性子照射損傷の基礎研究として本研究では中性子照射誘起拡散の測定およびその拡散機構の解明をめざしてイオンビ-ムナノセクショニング測定装置の試作研究を行ないつつある。 平成2年度は、(1)オ-ジェ電子分光装置付きイオンビ-ムナノセクショニング装置の試作、および(2)JMTRによる中性子照射下拡散実験の計画と試料の作製を行なった。 1.オ-ジェスペクトロメ-タ-付きイオンビ-ムナノセクショニング装置の試作 本装置はイオンガンにより加速されたアルゴンイオンで拡散試料をスパッタさせ、基に蒸着させるスパッタセクショニングチェンバ-、オ-ジェ分析チェンバ-およびその連結部にタ-ボ分子ポンプを直結させたチェンバ-より構成される。両チェンバ-内を超高真空に保持したまま試料を移動させるトランスファ-ロッドも作製した。現在、これらのチェンバ-、タ-ボ分子ポンプ、イオンガン、試料ホルダ-回転部、蒸着基板部、オ-ジェ分折管の取り付けを完了し、チェンバ-内は当初の目標である10^<-9>Torrの真空度に到達した。オ-ジェ分析系の立ちあげも完了し分析可能な状態に至っている。 2.JMTRによる中性子入射下拡散実験計画の具体化と試料の作製 JMTRにおける材料照射実験として、原子炉内での温度ー中性子束履歴の制御など十分に行なうことのできる平成3年度JMTR照射計画の試料を本年度末に提出した。 試料には、99.9999%の高純度アルミニウムを用い、中性子照射による放射化を極力おさえることにつとめた。拡散原子種には、Feを選び、(n,γ)反応により ^<54>Mn, ^<59>Fe, ^<60>Coに放射化した元素の照射誘起拡散係数を同時に測定する予定である。 以上のように、(1)および(2)について計画はきわめて順調に進行している。
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