研究課題/領域番号 |
02555140
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊夫 東京大学, 工学部, 助教授 (70115111)
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研究分担者 |
水上 英夫 東京大学, 工学部, 助手 (30229687)
池田 実 東京大学, 工学部, 助手 (50167243)
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キーワード | ステンレス鋼 / ストリップキャスティング / 急速凝固 / 光温度計測 |
研究概要 |
本研究はステンレス鋼の初期凝固過程を把握し、ストリップキャスト鋳片の表面品質安定化技術として不可欠なオンラインモニタリングシステムを構築することを目的としている。このために、鋳型に組み込んだ光センサ-により鋳片表面の温度変化を計測し、鋳片初期凝固時の凝固条件と表面組織形成過程を定量的に評価し、鋳片の表面品質を予測する手法の確立を目指して実験を行ってきた。 当初計画に基づき、平成2年度はステンレス鋼の初期凝固におよぼす雰囲気ガス、チル表面材質などの環境諸因子の影響を明らかにすることを目標とした。この結果、初期凝固に伴う過冷度が冷却速度に依存し、雰囲気ガスなどの環境因子には依らないことを明らかにした。また、初期凝固時に形成されるミクロ組織は準安定オ-ステナイト相のセル形態を有すること、その初期凝固組織の範囲やセル間隔は冷却速度に依存することを示した。さらに、初期凝固組織の形成過程を理解するために現象を単純化した凝固解析を行い、表面近傍の領域で極めて大きな温度勾配と成長速度が実現することを予測した。 この間、さまざまな情報から、双ロ-ルストリップキャスティングでのストリップ製造条件が安定初晶ー準安定初晶の遷移凝固条件近傍にあり、当初の予想以上に精密な制御が必要であることが明らかになった。そこで、実験制御因子を操作し、ストリップ鋳片と同様のδフェライト相からなる初期凝固組織の実現することを試みた結果、実鋳片に近い凝固条件を実験室的に得ることが確認できた。 これら研究成果は既に国際会議、国内学術講演大会において発表したほか、研究論文として「鉄と鋼」誌にも投稿中である。
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