研究概要 |
参照光と試料光を同一光路とする共通光路型顕微干渉計を試作した。マッハツェンダ-型の二光路顕微干渉計に比較して、(1)軽量、(2)振動に強い、(3)光軸調整が容易、等の特徴を有していることが明らかとなった。λ=680nm,780nmの二つのレ-ザ-ダイオ-ドを光源とすることにより、液相中の温度、濃度の非接触測定への適用の可能性を検討した。サクシノニトリル・アセトンをモデル合金試料とした一方向凝固過程の直接観察より、固液界面前方に形成される拡散境界層内の濃度勾配と界面移動速度の間には比例関係が認められた。実験結果は数値計算結果とも良い一致を示しており本装置の有効性が確認された。本手法を固液界面の安定性の検証に適用したところ、界面の不安定化(平坦→セル・デンドライト状)のクライテリオンはG_C,G_Tをそれぞれ界面における濃度勾配、温度勾配、mを液相線とすると、Mullin,Sekerkaの理論から予想されるSmG_C>G_Tで与えられることが明らかとなった。ただしSは、初期濃度に依存した定数であり、本実験の範囲では移動速度にも依存した。しかしながら凝固開始から定常に至る遷移過程での凝固速度は、数値計算結果よりも大きく、溶質濃度差に起因した対流が、境界層厚さを小さくしていることが示唆された。以上を要約すると、液相中の対流は溶質濃度分布を変えることのより、凝固速度に影響を与えるが、界面近傍には明らかな拡散境界層が形成されており、界面の安定性のグライテリオンには顕著な影響を及ぼさないといえる。
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