研究課題/領域番号 |
02555144
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西沢 泰二 東北大学, 工学部, 教授 (60005212)
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研究分担者 |
守護 嘉朗 大同特殊鋼(株), 新素材研究所, 主任研究員
草加 勝司 大同特殊鋼(株), 新素材研究所, 副所長
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | 形状記憶 / Ni-Al基合金 / B2構造 / L1o構造 / 変態温度 / 高加工性 / 金属間化合物 / 熱弾性型マルテンサイト変態 |
研究概要 |
高加工性で良好な形状記憶特性を有するNi-Al基合金を開発するために、Ni-Al-Fe、Ni-Al-Mn及びNi-Al-Fe-Mn系合金を中心に熱間加工性、組織特性、形状記憶効果、機械的性質を測定し次の結果を得た。 (1)B2(β)相とAl(γ)相の2相組織にすることによって、β相をマトリックスとする合金を熱間鍛造や熱間圧延する事が出来る。その熱間加工性はNi-Al-Fe系が最も良好であるが、Ni-Al-Mn系は熱間加工が可能な組成範囲は非常に狭い。しかし、Ni-Al-Mn系にFeを添加したNi-Al-Fe-Mn系は熱間加工性と機械的性質が大きく改善された。 (2)熱間加工性の良好なNi-Al-Fe系合金の機械的性質や形状記憶特性に影響を及ぼす組織学的因子について調べた。その結果、(i)fcc(γ)相の体積分率は、小さいほど形状記憶特性を向上するが、伸び特性は低下する。(ii)γ相の組織形態は、B2(β)相の結晶粒界をフィルム状に覆うとき、機械的性質も、形状記憶特性も良好である。(iii)β相の結晶粒径は小さいほど機械的性質、形状記憶特性共に良好である。これらの知見より、なるべくγ相の少ない合金に対し、加工再結晶による結晶粒微細化、高温域での炉冷など加工熱処理を工夫することにより、形状回復率、機械的性質共に良好な合金を得ることができた。 (3)高温形状記憶の可能性を明らかにするために、Ni-Al-Fe、Ni-Al-Mn及びNi-Al-Mn-Fe系合金を作製し、その変態温度を示差走査熱量計により測定した。Ms温度は、Ni-Al-Fe系では、150℃まで、また、Ni-Al-Fe-Mn系は150℃〜300℃の範囲でさらに、Ni-Al-Mn系では、約700℃まで変化するので、いずれの合金系も従来のニチノールやCu基系の作動温度100℃を越える高温形状記憶合金として有望であることがわかった。
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