1.研究目的 高温高圧水環境における金属材料の腐食事故の原因の究明と防止対策の確立のためには、腐食環境のpHを正確に知ることが不可欠である。本研究では、TiO_2単結晶をpH感応素子とする半導体pHセンサ-を用いて、高温水のpHを自動的かつ連続的に測定できる装置を開発することを目的とした。 2.研究成果 (1)pHセンサ-電極の作製:前年度の研究により明らかになった、pHセンサ-として最適の0.01wt%Nb_2O_5添加TiO_2単結晶を用いて、250℃までの高温における使用に耐え、かつ取扱の容易なpH電極を作製した。 (2)pH校正曲線の作成:25〜250℃の各温度においてフラットバンド電位EfbとpHとの関系曲線を測定し、Efb値からpHを決定する際の校正曲線を求めた。デ-タは統計的に処理し、校正曲線をソフトウェアとして供給できるようにした。 (3)高温純水のpH測定:沸騰水型原子炉の炉水である純水のpHの温度による変化を、25〜250℃の範囲で測定した。その結果、いずれの温度においても実測のpH値は水の解離定数から計算されるpH値に一致することが分かった。 (4)電解質の種類および濃度の影響:水溶液中の電解質の種類や濃度によって、測定されるpH値がどのように影響を受けるか検討した。高濃度のNa^+イオンが存在すると測定値に僅かな変化を生じたが、その他のイオンによる妨害作用はないことが分かった。
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