最近、Feー希土類元素金属間化合物のラ-ベス相で極めて大きな磁歪効果を示すものが発見され、注目を集めている。これらは通常の磁歪合金より2〜3桁ほど大きな磁歪を示すが、結晶異方性を有するため、その性能を最大限に発揮するためには、〈111〉に方位を制御した単結晶を育成する必要がある。 年本度は、まず、Bridgman法による単結晶の育成法の確立を目指した。すなわち、雰囲気高圧電気炉(本年度購入)を用いて、種々の条件下で単結晶の育成を試み、得られた単結晶の完全度をX線トポグラフィおよび透過電子顕微鏡法で、また、磁気特性を磁歪測定により評価した。 その結晶、単結晶の育成には、雰囲気の制御が最も重要なことを示した。特に酸素の存在は致命的で、酸素の除去のためには、ゲッタ-を効果的に用いることが必用であることを示した。また、ルツボには、高純度のhーBNが有効であることを示した。単結晶の育成は、50cm/minという早い成長速度でも可能で、得られた単結晶は、X線的には完全度の高いもので、成長方向に優先方位は認められなかった。また、磁歪特性は従来得られている同種の合金の特性を上回るものであった。
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