研究課題/領域番号 |
02555153
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大坂 敏明 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50112991)
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研究分担者 |
粕壁 善隆 東北大学, 教養部・物理学科, 助手 (30194749)
矢田 雅規 科学技術庁, 金属材料研究所・構造制御部, 研究員 (00182353)
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キーワード | 極性の伝播 / 表面構造解析 / 電子回折 / Sb trimerモデル / InSb(111)B-(2×2) |
研究概要 |
前年度の研究により、InSb/α-Sn/InSb{111}系において極性物質の表面極性が無極性物質を介して伝播することが初めて見いだされた。当該年度は、そのメカニズムに関するより詳細な知見を得るために、出発基板表面として利用したInSb(111)A-2×2およびInSb(111)B-2×2の表面構造を電子回折法より明かとした。その結果の概略を以下に示す。 回折強度測定の結果、A-2×2表面とB-2×2表面は異なった構造を持つことが明らかになった。さらに、Patterson解析からいくつかのモデルを導出し、今までに提唱されているモデルとあわせて最小二乗法を用いて最適化を行った。 (1)InSb(111)A-2×2 InSb(111)A-2×2の強度分布は、全反射X線回折法等によって提案されているVacancy buckling modelから期待される強度分布と極めて良い一致を示した。したがって、InSb(111)A-2×2の構造は、Vacancy buckling modelを基本構造として持つという従来の結果が支持される。 (2)InSb(111)B-2×2 InSb(111)B-2×2の強度分布は、InSb(111)A-2×2のそれとはおおきく異なり、異なる独自の構造を持つことを示唆した。強度解析の結果、Sb最外層のT_4サイト上にSb trimerが吸着したモデルのみが信頼度因子(R)が12%となり、モデルから計算される回折強度の値と測定値との違いは測定誤差のオ-ダとなった。このモデルは他の実験結果(AES、理論計算等)からも支持される。
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