研究概要 |
1線爆溶射法によるWCーCo系について溶射条件と溶射皮膜の組成,硬さ,密着性などの関係を調査し,溶射皮膜中のCo含有量が溶射線材中のCo含有量に比べてかなり減少していることを明らかにした。また線材のCo含有量が多くなる程,エネルギ-密度の増加に伴う脱炭の進行する度合が遅くなる。密着強度はCo含有量が多くなる程低い傾向にあり,また充電エネルギ-密度の増加に伴う密着強度が増加する割合する割合が緩やかになっている。 2Moと超硬合金(WCーCo系)の線爆溶射を行い,エネルギ-密度と皮膜の密着強度との関係を調査し,エネルギ-密度の増加に伴い密着強度が増加すること,このことは皮膜の気孔率に起因することなど明らかにした。 3線爆溶射WCーCo皮膜へNiーp合金を溶浸し,皮膜の緻密化に及ぼすめつき時間(Niーp含金量の因子)の影響を検討した結果,皮膜の硬さの点から16minのめつき時間が最適と考えられた。 4プラズマ溶射WCーCo皮膜にHIP処理を行い,皮膜特性の向上について調査した。すなわち無電解ニッケルめつきによる封孔処理を行い,低圧(0.9MPa,5MPa),873〜1273Kの各温度でHIP処理を行った。断面組織の調査,硬さ測定,アブレシブ摩耗の測定などにより評価した結果,例えばWCー12Coにおいて溶射のままの硬さHv870に比べて,HIP後はHv1200と上昇するなど顕著な特性の向上が見られ,実用的に応用可能であることが判った。 5プラズマ溶射Al_2O_3皮膜にフッ素樹脂をコ-ティングしたPTFEーAl_2O_3複合皮膜について,アブレシブ摩耗,ころがり摩耗,摩擦係数の測定試験を行い,ころがり摩耗に関してこの複合皮膜がすぐれた耐摩耗性を示すことが判り,この分野における応用が期待される。
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