研究課題/領域番号 |
02555157
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工業分析化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 工学部, 助教授 (10165657)
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研究分担者 |
小出 善文 熊本大学, 工学部, 講師 (40040430)
中野 幸二 九州大学, 工学部, 助手 (10180324)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 多相系材料 / 化学センサ / イオンセンサ / 尿素センサ / ポリペプチド / バイオミメティックセンサ / イオンチャンネルセンサ / 知能材料 |
研究概要 |
酵素などの生体物質を活用した計測法として、バイオセンサはいまや実用の域に達した。しかし、安定性や操作性の面で、まだ数多くの問題を残している。一方、高性能化学センサを構築する新しい研究の流れに“バイオミメティックセンサ"がある。これは、生体の精緻な作用機構に学び、対象物質との相互作用の電気信号への変換といったセンサ作動プロセスを確立するアプロ-チをとる。この点で、生体物質を直接センサ素子に用いたバイオセンサとは大きく異なり、生体物質に代わる優れた人工知能材料の開発が重要となる。 我々は、生体類似機能をもった人工材料として、ポリ-Lーグルタミン酸(PLG)を感応部位として持つ多相系高分子を合成した。これを修飾電極に応用することで、生体膜類似の「イオンチャンネル原理」に基づくバイオミメティックセンサの開発に成功した。まず、本修飾電極は、2価カチオンが共存する場合にその応答電流値が著しく変化することがわかった。電流値変化量と2価カチオン濃度の対数の間には良好な直線関係がみられ、μMレベルでの検出が可能である。また、その応答は数秒以内と速い。このセンサ-膜はビニルボリマ-に支えられているため非常に安定であり、少なくとも2カ月以上再現性よく働く。一方、このセンサ-は1価カチオンには全く応答しない。 応答機構に関する詳細な検討から、本センサはPLGのコンホメ-ション変化を介して応答することが明かとなった。そこで、タンパク質の変性剤として知られる尿素の検出に応用した。その結果、電流応答値と尿素濃度の間には良好な直線関係がみられることが明かとなった。これまで尿素の電気化学的検出には酵素ウレア-ゼが不可欠であると考えられてきた。本研究では、酵素に頼ることなく人工材料によりこれに成功した。非酵素的な尿素センサの初めての例である。
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