研究概要 |
本研究はビスマス系(BiーSrーCaーCuーO)の融液から,線材の超伝導体をつくるための諸条件を検討することを目的としている。まずはじめに,ガラス化を容易にするためのAlを添加したBi,Sr,Ca,A_<0.5>,Cu_2,Ox組成の融液を,約1200℃でつくり,これを細い石英ガラス管中に吸引挿入することによって,直径約5mm〜1mmの細長い線材をつくった。この細棒を,電気炉中で熱処理ー結晶化させることにより超伝導体とするための種々の条件を検討した。その結果,熱処理温度は約820℃が最適であるが,より低温側でのアニ-ル処理によりTcは向上することがわかった。結晶化の熱処理は,温度勾配下および等温下でそれぞれ実験した。一般に、温度勾配下結晶化では,2212相の結晶は大きく成表,かつ,配向結晶化の傾向があった,一方,等温下の結晶化では,結晶粒はより小さく,ち密であり配向はしない。 石英ガラス管中に融液を吸引ー急冷したあと,試料棒を容易に取り出すためには,石英ガラス管内壁に室化ボロンなどのコ-ティングが有効であることがわかった。石英ガラス管中への吸引後の冷却速度がゆっくりの場合は,融液の冷却中に失透(結晶化)が起り,2201相から主として成る結晶化体となる。この結晶化体の再加熱熱処理により2212相となりTc【approximately equal】80Kの超伝導体が得られるが,この際の熱処理は700℃という低温でも可能であること また、Bi_2 Sr_2 Da_1 Cu_2 Cx(Al含まず)の融唄についても,同様に,石英管中への吸引による線材化と,再加熱時の酸素吸収量とTcとの関係等について検討を加え,学会に報告した。
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