研究課題/領域番号 |
02555160
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学・無機材料工学
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
阿部 良弘 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90024223)
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研究分担者 |
久保 幸雄 中部電力(株), 総合技術研究所
細野 秀雄 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30157028)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | ビスマス系超伝導体 / 超伝導線材 / 超伝導ウィスカ- / 金属管封入 / 融液中Cu^+ / Cu^<2+>比 |
研究概要 |
(1)昨年度購入した温度勾配炉を用いて、Bi_2Sr_2Cu_2O_x超伝導ウィスカ-の生成条件を検討した。上記のいわゆる2212超伝導ウィスカ-を生成する条件として、母組成BiSrCaCu_2O_x融液急冷物に対するA1^<3+>の添加の効果が顕著であり、最適組成はBiSrCaCu_2O_xーAl_<0.5>であることがわかった。また、融液急冷物は、結晶化状態よりガラス質の方がウィスカ-生成し易く、Alの添加は、ガラス形成に有利であることがわかった。熱処理温度は850〜860℃が最適であった。生成ウィスカ-の直流磁化率の測定は、Tcが約77Kであり、熱処理条件によって85K程度まで向上する。ウィスカ-の組成、より長く成長させるための条件(通常1cm程度まで。)の検討等行った。 (2)融液の温度と、融液中Cu^<2+>/ΣCuの比、およびTcとの関係: 融液にする温度が高いほど、融液中の銅2価(Cu^<2+>)と全銅との比Cu^<2+>/ΣCu比が小さくなり、最終結晶化体のTcが結果としてはむしろ高くなるという興味ある事実を見いだした。 (3)上記の(2)のように、融液ー急冷法においては、その急冷物中のCu^+(1価)が多い(全銅の約1/2)。これを銀等のチュ-ブに吸引・流し込むことにより、線材化できるが、超伝導体とするための熱処理時に、Cu^+を酸化させる必要がある。しかし、銀等のチュ-ブが空気中の酸素の試料への拡参の妨害となった。そこで、融液中に、酸化剤となる添加物をあらかじめ混入させることにより、金属管等封入のままでの熱処理によって超伝導線材を得る道を開いた。本研究では、金属(銀、白金等)やガラス管コ-トした超伝導線材への可能性をはじめて示した点で、意義は大きいと思われる。
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