研究課題/領域番号 |
02555161
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 直弘 京都大学, 工学部, 教授 (80026179)
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研究分担者 |
河口 年安 旭硝子(株), ニューガラス開発研究所, 主席研究員
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
根本 紀夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90027053)
中西 和樹 京都大学, 工学部, 助手 (00188989)
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キーワード | ゾル-ゲル法 / ケイ素アルコキシド / 有機高分子 / スピノ-ダル分解 / 光散乱法 / 溶媒置換 / 窒素吸着法 |
研究概要 |
ポリアクリル酸等の水溶性有機高分子の共存下でケイ素アルコキシドを加水分解し、ミクロンオ-ダ-前後の絡み合い構造を持った多孔質ゲルが形成される過程について、この構造形成を追跡することのできるフォトダイオ-ドアレイを検出器として用いたレ-ザ-光散乱光度計を作製し、以下の知見を得た。(1)ミクロンオ-ダ-の濃度ゆらぎの成長は、そのごく初期では波長の変化を伴わず、まず強度のみが増加した後に、強度と波長の両方が増加するようになる。(2)ゲル網目が発達して移動度が低くなるに連れて、波長の変化は無くなるが、この後散乱強度は1桁以上増加する。これら結果は、スピノ-ダル分解機構によって系内に生じた周期的な濃度ゆらぎが、しばらくは周期的波長を増大しながら発達するが、やがてゲル網目が発達してその構造を固定してしまうことを示しており、これまでに明らかになっている作製条件とゲル構造の関係が、矛盾なく説明される結果であった。引き続いて、相分離するドメインの構造発展と固定されるゲル構造との対応について、測定精度を高めながら、デ-タを蓄積して行く予定である。 ミクロンオ-ダ-の絡み合い構造を持つ湿潤ゲルを乾燥・熱処理して骨格を焼結しながら、窒素吸着法によって細孔構造の変化を追跡したところ、湿潤状態での溶媒置換処理によってナノメ-タ-領域の細孔構造が大きく変化し、比表面積および細孔容積の加熱による消失挙動が異なることが明らかになった。これは、有機高分子ゲルー溶媒系において広く知られている、シリカゲル網目と溶媒の相互作用に基づく網目の相分離(ドメイン形成)によって、矛盾なく説明された。
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