研究課題/領域番号 |
02555162
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
中村 雅彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (80027903)
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研究分担者 |
塩見 治久 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60215952)
井上 圭吉 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70027788)
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キーワード | 非石綿繊維 / 繊維強化建材 / 耐久性 / 耐凍害性 / セメント / ノンアスベスト / 細孔分布制御 / 細孔構造 |
研究概要 |
当該年度の計画通り、強化用非石綿繊維としてセメントマトリックスと接着性が優れるビニロン繊維を用い繊維配合率、セメント/水比を変えて混練した素地をプレス成形後、加温養生で硬化した建材試料を作製した。建材内部の耐凍害性に密接に関連する微細孔の分布組織を変える目的で微粒珪砂、シリカフュ-ム、フライアッシュを添加した試片も作製を済ませた。また企業でビニロン以外の非石綿繊維(ポリプロピレン、炭素、パルプ、ガラスなど)で強化したセメント系繊維強化建材試料の提供を得て、全試料の破断面内での強化繊維種の違いによるセメントマトリックス捕捉性の差異(電顕観察)、曲げ強度、タフネス等の機械的特性が繊維種の相違によってどの様に異るかを以下の様に明らかにした。 (1)ビニロン繊維配合率は複合系の機械的強度及びタフネスを最高に維持するには1〜2wt%が最適量であり、上記範囲外の低配合率ではセメント自体の脆性による強度とタフネスの低下を、また高配合率では繊維同志の接触部分の増加による強度とタフネスの低下が現れる。 (2)セメント/水比については、最高の強度とタフネスおよび優れた耐凍害性を発揮できる細孔径分布および細孔量を持つ組織となる最適値が存在することを示唆する結果を得つつある。 (3)非石綿繊維として上記の各繊維を比較すると、試料が市販製品であるため製造条件の差異のために内部の微構造的差異が現れるのは免れないが、繊維種の違いのみから強度とタフネス及び現在測定継続中の耐凍害性結果を総合して中間的に判断すると、機械的及び表面化学的特性の異なる2種以上の繊維を複合使用することによって強度やタフネスの機械的特性を向上させることが可能であると言う実際の高耐久性の非石綿繊維補強セメント系建材の開発に有益な知見が得られつつある。
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