研究概要 |
当初の研究計画に従い、超音速ノズル、質量分析計を装備した反応セルを中心に、マイクロ波イオン源、三つの高速排気系、発光スペクトル観測装置から成る超音速イオンビ-ム反応装置を試作した。 予備実験として希ガスのマイクロ波放電で生成したHe^+,Ar^+の一部を超音速ノズルから高真空反応セルに超音速ビ-ムとして噴出させ、N_2分子との衝突で生成するN_2^+イオンの質量スペクトル並びに発光スペクトルを、ノズルの直径、動作圧力等の実験諸条件を変化させて測定した。その結果、試作したビ-ム装置が所期の性能を有していることを確認するとともに、実験の最適条件を決定した。次にプラズマプロセスガスとして重要なCH_4,GeH_4分子を標的試料として生成物の質量スペクトル並びに発光スペクトルを紫外、可視領域で分光測定し、各生成物の生成速度定数を高精度で決定した。さらにエッチングであるCF_4,CF_3Cl_3,CF_2Cl_2,CFCl_3,CCl_4の発光スペクトルを測定し、各発光種の生成速度定数を決定した。発光の生成速度定数は、当初予測していたよりも小さく、基底状態のような非発光種が主な生成物であることがわかった。 超音速ビ-ムを用いたエッチングの予備実験としてCF_4,CFCl_3,CCl_4を分解させ、イオン活性種を生成させ、放電下流に設置した加熱シリコン基板のエッチングを試みた。またHe^+の超音速ビ-ムを基板に照射すると同時に、基板上にCF_4,Cl_2,O_2等のエッチングガスを吹き付け、基板の異方性エッチングを試みた。イオンビ-ム強度、基板温度、エッチングガスの種類、圧力を変化させてエッチングを行い、基板の電子顕微鏡写真の測定からアスペストの大きい最適エッチング条件の決定を目指している。
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