モ-ウェル炭(褐炭)を用い、炭酸ガス気流中で活性化を行なって、活性化条件と触媒活性との関係を明らかにした。得られた活性化炭素は比表面積、細孔容積の測定、メチルシクロヘキサンの脱水素反応を行なって評価した。またその炭素を担体として実際に重質油の分解に用いた。 褐炭の活性化は炭酸ガス気流中で7.5℃/min.で600℃まで昇温し、そのまま1時間保持し、引続き10℃/min.で目的の温度まで昇温後保持して行なった。活性化の過程では100℃前後で水、300ー500℃でガス状炭化水素とタ-ルの生成が見られた。600℃以下の温度ではCOの生成はほとんどなく、またこの時点での比表面積、細孔容積はそれぞれ523m^2/g、0.028cm^3/gであることから600℃までは褐炭中の揮発成分の揮発及び分解が主として起こるが、CO_2+C→2COという反応による細孔の発達はほとんど進んでいないと考えられる。600℃を越えるとCOが盛んに生成し、上記の反応による細孔の発達が進む。高温、長時間活性化を行えば比表面積、細孔容積共に大きくなり900℃で30min.活性化した場合には比表面積、細孔容積それぞれ1150m^2/g、0.38cm^3/gが得られたが、得られる活性化炭素の収率は仕込んだ原料炭の1/10と極端に低い。また脱水素能も比表面積、細孔容積の増加に伴い高くなったが、活性化の温度が850℃を越えると脱水素能はむしろ低下した。脱水素に必要な活性点が壊されるためと考えられる。これらの活性炭のうち、850℃で1時間活性化した物にNiを担持してアラビアンヘビ-減圧残油の分解を行ったところ、市販の活性炭に匹敵する脱硫率(27%)、オイル収率(43%)が得られ、ガス中のオレフィンはむしろ少ないことから、水素化能は褐炭より調製した炭素の方が高いと考えられる。
|