研究分担者 |
田中 鎮也 住友化学工業(株)宝塚総合研究所農業科学研究所, 主席研究員
川嵜 健次 出光興産(株)中央研究所光, 電子材料研究室, 室長
岡野 孝 名古屋大学, 工学部, 助手 (90194373)
大野 正富 名古屋大学, 工学部, 助教授 (50072682)
源 勝麿 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023106)
|
研究概要 |
本研究では各種多環系骨格誘導体の合成と諸性質の検討をおこなってファインケミカル原料などの新規有機工業材料としての開発の基礎を確立することを目的としている。本年度検討した結果を以下に要約した。 1.2,4-アダマンタノ-16-クラウン-5、-19-クラウン-6などの合成には成功したが、これらのカチオン補足機能は大きくなかった。このことは剛直な脂環系に結合したクラウンエーテル類の安定コンフォメーションが錯体形成に不利なためと推定されるので高機能化にはさらなる分子設計が必要である。 2.多環系ケトン類の官能基化法の一つとしてテトラシクロウンデカンジオンとホモアダマンタノンのアシル化を検討した。前者ではモノおよびジアロイル後者ではトリフルオロアセチル化などに成功した。得られた1,3-ジケトン系は各種錯体形成や複素環合成素子として有用である。その実例として後者を用いたホモアダマンタノ[4,5]縮合型含窒素複素環の合成法を開発した。 3.活性分子種による骨格合成・変換法の開発として、橋頭位隣接カルベノイドの環拡大反応で高ひずみ3-ホモアダマンテンが生成でき4-位の置換基によって反応性はことなるが合成中間体として有用性が期待できることが判明した。 4.シクロムクレオシド特に2,2-アンヒドロチミン誘導体を合成しその反応性を検討した。その結果これらが生理活性的に重要な置換アラビノシル誘導体の有用な合成中間体となることが判明した。 5.上記により合成した多環系化合物の一部について物性,生理活性を検討した。ホモアダマンタノ[4,5]縮合型ピラゾール誘導体の粉末法でのSHG、THG測定では尿素値よりいずれも小であった。その他の物性・生理活性評価については今後の課題である。
|