研究概要 |
1.流動式電解槽による電解フッ素化 流動式電解槽による電解のための予備実験として、内径8cm,高さ20cmの円筒状電解槽を用いて、生成物が100g程度合成できる容量でのバンチ式電解を実施した。アクリル酸メテル(120ml),TFA(80ml)、及び水酸化ナトリウム(4g)を、アセトニトリル(560ml),水(80ml)に溶かした溶液を、白金板電極(6×4cm^2)を用い、氷冷下で、定電流電解した。電流密度(83mA/cm^2)で16時間(1、2F/モル)通電した。常法により後処理後、蒸留すると、目的生成物(81g,収率50%)を結晶で得た。電流密度は50〜150mA/cm^2程度の範囲で実施できるので、大量合成法として十分な条件となっている。また、収率もミリモルスケ-ルからモルスケ-ルへ移行しても、平均して50%を確保できることが判かった。 次に、大科工業製流動式電解槽の試運転を水溶媒で行なった。電極はスエ-デン製ElectroーMPーCellで面接100cm^2の白金メッキテタン材を用いた。ポンプ、流動計、冷却器の作動状態も、24時間運転で、正常であった。従って、上記のバッチシステムでの電解を100gスケ-ルで流動槽で実施し、運転条件と収率、生成物選択性の関係を挙握した後、0.5〜1kgオ-ダ-でのTFA電解へと進む予定である。 2.新規電解トリフルオロメテル化の開発 アクリル酸ブチルーTFA系で、電解槽に酸素ガスを通じて定電流電解すると、トリフルオロメチルーオキシ化反応が実現できた。トリフルオロメチルラジカルとオレフィンとの反応で生成した、中間体ラジカルが酸素と反応した後、過酸化物の脱離反応により、カルボニル基が導入されたと考えられる。本新規反応のスケ-ルアップも試みる。
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