複合材料用単結晶セルロ-スフィラ-の製造

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02555180
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 林 治助 北海道大学, 工学部, 教授 (10001182)
• 研究分担者: 藤原 政司 北海道大学, 工学部, 助手 (30229075) ; 清水 祐一 北海道大学, 工学部, 助手 (80142694) ; 高井 光男 北海道大学, 工学部, 教授 (50002019)
• キーワード: 複合材料 / セルロ-ス単結晶 / 微生物生産セルロ-ス / セルロ-ス合成遺伝子 / 酢酸菌培養 / バイオマス糖化液 / セルラ-ゼ

研究概要

1.複合材料化試験:バクテリアセルロ-ス(BC)の膜およびミクロフィブリル(MF)化したものに、疏水性マトリックスポリマ-との親和性を与えるために、ベンジル化、トシル化、ステアリン酸化等のエステル化と、メタクリル酸メチル(MMA)、スチレン、アクロニトリル等のグラフト化をおこなった。マトリックスポリマ-にはエポキシ樹脂ポリアクロニトリルを用いた。最も良い結果を示したのはステアリン酸化したものをエポキシ樹脂で複合したもので、比重標準化の引っ張り強度は、樹脂のみの時を1.0とした時、無処理BC膜を12%フィラ-として含む複合材では2.0、置換度2にエステル化したものを13%含むものでは3.5であり、修飾の効果を顕著に示した。MMA化したMF化BCとエポキシ樹脂の系では、無処理物に較べMMA化で50%の強度増があった。
2.BC生産菌の低コスト培養法:バイオマス酵素糖化液をそのまま培養液として用いるための基礎実験をおこなった。グルコ-スにマンノ-スとガラクト-スが適当量加わると、BCの生産量が増加する。しかし培養液の単糖成分として単独に加えた場合はこれらの生産性は低く、一方フラクト-ス、マンニト-ルでは、菌種にもよるがグルコ-スに匹敵する生産性を示し、代謝系についての一層の解明の重要性が示唆された。糖化液中の分解酵素セルラ-ゼの熱変成物がBC生産性を著しく高めるが、セルラ-ゼは複合酵素なので、イオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィ-で分離して有効部分を検索した。その結果βオキシダ-ゼの寄与が最も高く、セロビオ-スの分解にかかわるこの酵素の寄与は、この合成促進効果が二つのグルコ-スを定位置に固定して連結を容易にすることによるとの予測を支援した。

研究成果

• [文献書誌] M.Takai,F.Nonomura,T.Inukai,M.Fujiwara,J.Hayashi: "Filteration and Permiation Characteristics of Bacterial Cellulose Composite" Sen-i Gakkaishi. 47. 119-129 (1991)
• [文献書誌] M.Fujiwara,K.Fukushi,T.Takai,J.Hayashi: "Construction of Shuttle Vecter Derived from Acetobacter Xylinum for Cellulose-Producing bacterium Acetobacter" Archives of Microbiology. (1992)
• [文献書誌] Y.Shimizu,A.Nakayama,J.Hayashi: "Acetylation of Cellulose With Carboxylate Salts" Cellulose Chemistry and Technology. 26. (1992)
• [文献書誌] J.Hayashi,Y.Yaginuma,Y.Shimizu,M.Takai: "Supermolecular Structure of Cellulose Suggested from Behavior on Chemical Reactions" Cellulose. (1992)
• [文献書誌] J.Hayashi,Y.Yaginuma,S.Shimizu,M.Takai: "Supermolecular Structure of Bacterial Cellulose" Polymer International.
• [文献書誌] J.Hayashi,M.Kubo,U.Shimizu: "Polymer Composite Material Used Cellulose in the state of Single Crystallite as a Filler" Polymer International.