研究課題/領域番号 |
02555183
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
戸倉 清一 北海道大学, 理学部, 教授 (40000806)
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研究分担者 |
瀬尾 寛 富士紡績株式会社, 商品開発研究所, 主任研究員
三浦 嘉晃 北海道大学, 理学部, 教務職員
西 則雄 北海道大学, 理学部, 講師 (70001857)
重政 好弘 鳥取大学, 工学部, 教授 (00032029)
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キーワード | カルボキシメチルキチン / 生体内消化性 / 徐放性担体 / ネオカルチノスタチン / 抗腫瘍剤 / 包接化 / カルシウムイオンキレ-ト / 中性アミノ酸 |
研究概要 |
Fe^<3+>イオン-カルボキシメチルキチン(CM-キチン)による高分子量制ガン剤(ネオカルチノスタチン、NCS)の包接化の条件について詳しく研究したところ、15〜30mM Fe^<3+>及び25〜50mM Ca^<2+>存在下でCM-キチン-NCS混合物をゲル化するとNCSを効率よく包接化できることを見いだした。これは、NCSが高分子量のためFe3+単独の条件下では包接化が不完全なため、Ca^<2+>キレ-トCM-キチン中性アミノ酸吸着特性による補助効果を利用したところ約50%以上の効率でNCSを包接化できた。さらにこのNCS包接化高分子試薬をリゾチ-ム共存下in vitroでの徐放性について観察し、所期の効果が確認できた。またマウスを使ってのin vivoテストでも皮下注射により48時間(2日)以上にわたり徐放効果が確認できた。一方CM-キチンにフェニルアラニンをスペ-サ-としてモデル医薬を結合したペンダント型高分子医薬では、スペ-サ-のアミノ酸構成に依存はするが、CM-キチンによる包接化のためリゾチ-ム共存下でなければ、モデル医薬の放出が観測できないことが多かった。この場合、予めリゾチ-ムで高分子医薬の担体部(CM-キチン)を種々のサイズに加水分解してからモデル医薬放出について調べたところ、分子量に大きく依存し分子量4,000以下になると放出速度が急速に上昇することを見いだした。高分子医薬ではこの様な現象は初めて観測されたもので、第5回キチン・キトサン国際学会での発表では大いに注目された。このため本年4月5日〜10日米国サンフランシスコで行われるアメリカ化学会のセルロ-ス部門で招待講演に指定された。またすでにCarbohydrate Polymers紙に投稿受理されている。本年度はこの題目で3つの国際学会で発表している。
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