研究概要 |
1.新しいイソシアナートとして、4-メトキシフェニル、4-エトキシフェニル、4-イソプロポキシフェニル、4-イソブトキシフェニル誘導体を合成し、これらのイソシアナートをセルロースおよびアミロースと反応させ、多糖の4-アルコキシフェニルカルバメート誘導体を得た。これらの誘導体をシリカゲルに吸着させて高速液体クロマトグラフィー用の充填剤を調製し、その光学分割能を種々のラセミ体を用いて評価した。その結果、光学分割能は4位のアルコキシ基に強く依存し、セルロース誘導体についてはイソプロキシ及びイソブトキシ誘導体が、アミロース誘導体についてはメトキシ及びイソプロポキシ誘導体が優れた光学分割能を示すことを見出した。セルロース誘導体とアミロース誘導体における置換基効果の相違は、これらの多糖の高次構造の相違によるものである。また、これら多糖の3,5-ジメチル-4-メトキシフェニルカルバメートを合成し、その光学分割能を評価したが、いずれの多糖誘導体も極めて高い光学分割能を示し、実用性の高い充填剤となることが明かとなった。 2.セルロース及びアミロースの2,3位及び6位に位置特異的に3,5-ジメチルフェニルカルバメート基あるいは他のエステル、カルバメート基を導入し、その光学分割能を評価した。その結果、セルロース誘導体については、2,3,6位のどの置換基不斉識別に重要であるかは、ラセミ体によって異なること、アミロース誘導体については、2,3位の置換基が特に重要であることが明かとなった。 3.セルローストリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)をはじめ、いくつか多糖誘導体カラムをサルトプリド、スルピリドなどの医薬品の光学分割に用いることにより、これらの医薬品の体内動態を検討することができた。
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