研究課題/領域番号 |
02555190
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宗像 健 九州大学, 工学部, 教授 (00037714)
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研究分担者 |
本田 克美 九州大学, 工学部, 助手 (80038108)
宮崎 則幸 九州大学, 工学部, 助教授 (10166150)
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キーワード | 液々抽出 / 液々抽出装置 / 物質移動装置 / 液々界面 / 界面保持 |
研究概要 |
本研究で対象としている抽出装置は、相互不溶解の二液を両液ともに容易に通過しうる空隙の多い固体壁を隔てたその両側に流路を構成するように流通させ、固体壁面内に界面を保持させようとする装置であり、このような装置の抽出装置としての可能性を実験的に検討することが本研究の目的である。 本年度は、前年度装置からの酢酸蒸気の漏洩が問題となっていたため装置全体を見直して新たに実験装置を作製することから始め、引き続き流動実験及び抽出実験を行った。 まず、流動実験では、界面の安定性を調べた。安定な界面が得られる操作範囲は、水側、ケロシン側の圧力差で相関できたが、界面張力と関連づけて定量的に十分説明できるまでには至らなかった。 次に、酢酸を抽質とする抽出実験を行った。昨年度はアミンをケロシンに加えて酢酸のケロシンへの溶解度を上げて実験を行ったが、本年度はアミンを加えずに水、ケロシンの流量を種々変えて実験した。実験結果は、水側の総括物質移動係数と界面積との積KwAで評価した。この値は、金網管が水で満たされた状態、すなわち界面が管壁の外面及び金網管がケロシンで満たされ界面が内面に存在すると想定して算定される場合の中間に位置するものと予想される。この算定法によれば、KwAを支配するのは金網管壁内の物質移動抵抗であり、水及びケロシンの流量にはほとんど影響されないことになる。しかし、実験から得たKwAの値は、上述の二つの場合に対する値より数倍大きくなり、しかも水の流量と共にわずかではあるが増大した。これは、水、ケロシンの流れが、金網管壁内に何らかの影響を及ぼし物質移動が促進されたためではないかと考えられ、金網等の多孔質材料及びその細孔径や管壁の厚さなどの影響と共に今後の検討課題としたい。
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