日本のダイコンには、空洞の発生しやすい品種としにくい品種があり、源助ダイコンは空洞の発生しやすい品種に入ることが明らかとなった。 空洞の発生しにくい品種では、高地温下でも適地温下でも根部の単位面積当りの道管の数は同じで少ないが、空洞の発生しやすい品種では、高地温下で適地温下のものに比べ道管の数が多かった。 オ-キシンの一種であるナフタレン酸酸水溶液を源助ダイコンの生育中期に葉面散布処理すると、根部の道管数は無処理のものに比べ極めて多くなり空洞は多発した。 高地温下で生育させた源助ダイコンの根部中心部の組織は、ウィスナ-試薬により赤く染色されたが、適地温下のものは染色されなかった。この結果は、高地温下の中心部の組織は木化していることを示している。 以上の結果と、オ-キシンは植物細胞の木化を促進するという報告とを考え合わせると、空洞発生について次のように考えることができる。高地温やオ-キシンにより根部の木部柔細胞が木化し、道管間の木部柔細胞の増生が阻害される。このため、適地温下で柔細胞が活発に増生し道管間を広げていったものに比べ結果として単位面積当りの道管数は多いということになる。根部中心部に形成され、空洞のもととなる破生間隙を充填していく大型の柔細胞も、木部柔細胞が木化するため増生されず、間隙をうめていくことができない結果、空洞へと発達する。また、高地温下でも、空洞の発生しにくい品種の場合は、木部柔細胞が木化しにくいのであろう。
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