研究概要 |
馬鈴薯の土壌病害であるそうか病については,り病部位が地下の塊茎であるため,防除試験を実施しても掘ってみないと効果が判定できず,研究の進度はかなり遅い。これまで,主として病原菌の生理生態の解明や病害発生のみられる土壌環境の解析及び栽培管理,耐病性の品種の育成などの点から数多くの研究がなされてきたが,いまだに的確な防除技術は確立されていない。 本研究では,そうか病り病塊茎を着生している馬鈴薯地上部体内の代謝成分の変動を把握し,これらを地下部の土壌病害感染の診断や予知の指標として利用しようと計画し研究を進めている。 本年度は高速液体クロマトグラフ(日本分光880PUー830IR型)を購入した。また,他の研究費で酵素センサ-法を利用したグルコ-スアナライザ-を購入して研究を開始した。 分析試料の調査と採取および分析法の検討を終わり,試料の分析を実施中であるが,今年度は,耐病性との関連要因としての馬鈴薯体内代謝成分のなかでグリコアルカロイド類のαーソラニンとαーチャコニン含量が栽培環境の変化によりどのような感応を示すか,土上部と地下部のそれぞれについて次の3点について重点的に調査した。 1.馬鈴薯の各品種別のグリコアルカロイド含量の把握 2.栽培時の石灰施用にともなうグリコアルカロイド含量の変動 3.光による緑化がグリコアルカロイド含量に及ぼす影響 現在,分析結果を整理検討中であり,新しい知見は得られていない。
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