研究概要 |
本研究では,そうか病り病塊茎を着生している馬鈴薯地上部体内の代謝成分の変動を把握し,これらを地下部の土壌病害感染の診断や予知の指標として利用しようと考えた。 診断の指標とする代謝成分として,グリコアルカロイドを取り上げ,その葉位別葉中の含量を品種別,そうか病り病株と健全株について分析した。また,同一株に着生している塊茎の表皮中の含量を分析し,葉位別葉と塊茎表皮中との含量の相関を検討した。さらに,栽培時の石灰施用の有無及び光により緑化した場合の芋のグリコアルカロイド含量の変動なども分析した。 葉位別葉中の含量は上位3葉で最も多く,下位葉は少なく,生長が旺盛な部分に多かった。 そうか病り病株と健全株の葉では,品種タチバナでは,り病株の葉中含量が健全株の葉中含量よりも高く,西海20号では,逆に低くなっており一定の傾向は見られていない。 品種間の差異については,葉中の全グリコアルカロイド含量は,メ-クインが最も高く,ついで西海20号であり,チヂワとタチバナは,ほぼ同程度であった。このことが品種の持つそうか病抵抗性と関連があるのかどうかについては明確にできなかった。葉位別の葉と塊茎表皮中とのグリコアルカロイド含量との関連については,上位葉とα-ソラニンとの間に有意な相関が認められた。 石灰施用によりニシユタカとメ-クインでは,塊茎表皮中の含量は,やや増加の傾向がみられたが,T8467では,含量が少ないこともあって変動は認められなかった。ニシユタカとメ-クインでの含量の増加は,α-チャコニンの増加によるところが大きい傾向であった。
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