研究概要 |
平成3年度には,本分析法(CL-HPLC法)の基本構成である化学発光検出部を接続させた高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)装置を組み立て完成させるとともに,生体試料中の過酸化脂質の定量に至適な化学発光試薬,HPLCカラム,およびカラム移動相の検討を行い,脂質クラスごと(トリグリセリド、ホスファチジルコリンなど)のヒドロペルオキシドの検量線の作成,および実際の臨床血清試料の分析を行い,CL-HPLC法と本分析装置の生体試料分析への有用性を明らかにした。 具体的には,過酸化脂質定量装置(CL-HPLC装置)の作製,過酸化脂質定量用のポストカラムの至適化学発光反応系の確認,至適発光試薬(ヘム化合物とくにチトクロムCとルミノ-ルの混合系,およびその混合比の検定)の選択,脂質クラスの分離に有効なHPLCカラムと移動相の検討,脂質クラス(トリグリセリド、ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノ-ルアミンなど)ごとの過酸化脂質検量線の作成,およびヒト血液や動物組織からの定量的脂質抽出法の検討と生体試料中の過酸化脂質分析の有効性を確認した。 本法を用いて,ヒト血漿と赤血球膜中の過酸化リン脂質の定量,ヒト血清リポ蛋白質中の過酸化脂質の分布,ヒトの動脈硬化症,高脂血症,糖尿病および老人性痴呆症など臨床試料(全血,血漿,リポ蛋白質)のデ-タ解析,および動物実験とヒト培養細胞系の実験による生体内過酸化脂質代謝の解析を行い,本法の実用性を確認した。
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