研究課題/領域番号 |
02556016
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
伊奈 和夫 静岡大学, 農学部, 教授 (40022066)
|
研究分担者 |
坂田 完三 静岡大学, 農学部, 教授 (20087563)
|
キーワード | 海洋付着生物 / 海洋付着忌避物質 / 海洋防汚物質 / 抗菌活性 / 防藻活性 / 溶出試験 / ノニルフェノ-ル / TBTO |
研究概要 |
付着忌避物質の実用化研究 付着忌避物質を実用化防汚剤に用いる場合、抗菌活性、防藻活性及び固定剤からの溶出試験が必要である。本研究では忌避物質の実用化を試みる前段として各種活性の測定方法を確立し、防汚剤としての可能性を検討した。 i)抗菌活性:約10種の菌を用いて、防汚活性との相関を検討した。防汚活性と抗菌活性との相関はバクテリアではグラム陽性菌、Tricho phyton menagrapytesおよびCandida albicansの間にみられた。 ii)防藻活性:付着珪藻に対する防藻活性を検討するため、Nitzchia closteriumおよびNaviculla sp.を用いて防汚活性との相関をもとめた。その結果、野外の浸漬試験において長期間活性を保つ物質は総べて上記珪藻に対して防藻活性を持つことがあきらかになった。 iii)固定剤からの溶出試験:付着忌避活性、抗菌活性、防藻活性などの各活性を持ちながら実際の防汚試験において、活性の現われない場合がある。この事を明らかにするため、固定剤として塗料ブチラ-ル樹脂を用いて各物質の海水中への溶出試験を検討した。その結果、長期間防汚活性を保持する物質は塗料からの溶出が制御されることが必要であることが明確となった。これら各試験法の確立と共に防汚活性との相関を求めると付着忌避活性、抗菌活性、防藻の各活性を持つ物質でさらに溶出性の少ない物質が実用化防汚剤としての可能性の高いことが明らかになった。天然活性物質から誘導されたノニルフェノ-ルを選びだし、上記各試験と溶出性を検討したところ良好な結果が得られた。そこで、本物質を用いて野外防汚活性試験を行ったところ、約150日間の防汚効果が発見され、この活性はTBTOのそれとほぼ同程度のものであることが分かると共に各試験の必要性が証明された。
|