研究概要 |
付着忌避物質の実用化研究 海洋防汚物質の簡便な検索法としては,次の各試験項目(・ムラサキイガイの付着忌避試験,・微生物trichophyton mentagrophytes等の細菌に対する抗菌試験,・珪藻Nitzschia closterium等に対する生育阻害試験(抗珪藻試験),・付着忌避物質の塗膜面からの溶出試験)が絶対条件であることを明らかにした.その後,各試験項目について,海洋浸漬試験で6ヶ月(180日)以上活性が保持された化合物を用い,各試験項目に対する期待活性数値の検討を行い,活性発現のための条件の明らかにした. 1)イガイの付着忌避試験法では活性の単位がUnit4以上であること. 2)T.mentagrophytes,海洋細菌No.38およびBacillus subtilis等に対する抗菌試験では最小生育阻害濃度(MIC)が3.2〜6.4μg/mlであること. 3)抗珪藻試券ではN.closteriumまたはNaviculla sp.に対する生育阻害濃度が1×10^<-3>μmol/ml以下で,50%以上の生育阻害を発現すること. 4)塗膜面からの溶出試験で,10日間浸漬後の残存率が70〜80%であること. 以上の各試験項目は海洋防汚物質検索のための必要条件である,単一物質で活性を期待する場合は,各試験項目をすべて満足する必要がり,また,複数の物質で個々の活性を総合して防汚活性を期待する場合は,試験化合物の個々の活性を明確にし,それらを適宜混合する. 上記試験方法を用いて選択された物質は海洋浸漬試験において150日間以上の活性保持が期待されることを明らかにした.
|