研究課題/領域番号 |
02556020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大熊 幹章 東京大学, 農学部, 教授 (80011906)
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研究分担者 |
古沢 信 (株)一条工務店, 研究員
平野 茂 (株)一条工務店, 主任研究員
中村 昇 東京大学, 農学部, 助手 (30180384)
信田 聡 東京大学, 農学部, 助手 (00201541)
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キーワード | 集成材 / LVL / 軸ボルト / 中空材 / フィンガージョイント / 長尺(長スパン)梁材 / 耐力壁 |
研究概要 |
研究の最終年度に当たる本年度は、カラマツ有孔集成材をフィンガージョイントと軸ボルトを併用して縦継ぎし、これを長軸梁材として用いる問題を中心にして実験研究を進めた。 有孔集成材の製造に関しては、ラミナの長軸方向に連続した断面が半円形の溝を加工し、これらのラミナを溝を合せて積層接着する方法を確立した。この方法によればきわめて容易に有孔集成材が製造でき、しかも反り、変形を生じない。 有孔集成材に軸ボルトを通して締め付けると曲げ剛性が大きくなることが認められた。これは引張側の軸ボルトが、集成材の曲げ変形の増加とともに端部に抵抗モーメントを発生させ、曲げ変形の進行を抑制するためである。なお、ボルトの締め付け力は締め付け直後に約5%程度低下するがそれ以後は安定し、一定の力を保持することが認められた。締め付け力の緩みは問題にしなくてよかろう。 集成材の断面にフィンガー加工を施して2材を接着接合し、長尺材を製造した。これに軸ボルトを通して締め付けた梁材(長さ2600mm)の曲げ試験を行なった。軸ボルトを併用するとフィンガージョイント接合単独のものよりも曲げ強さが向上するとともに、木部が破断した後でも一定の荷重保持能力を示す。このことは現場接着によるフィンガージョイントに信頼性を与え、さらに材料にフェールセーフ機能を付与することになる。 以上の一連の実験結果より、中空材(有孔材)は長軸ボルトの使用を可能にし、木質軸材料、さらには木質構造の構造安全性の向上にきわめて有効であることが認められた。
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