研究概要 |
本研究の目的は、マイクロ波共振器で、木材の重量分布と水分分布とを、それぞれの誘電率の違いを利用して同時に非接触的に計測するグレ-ダ-・センサ-を開発することであり,測定原理はマイクロ波共振器の中に、または、共振器の側面に木材を当てると、そのマイクロ波共振周波数が木材とそれに含まれる水分の誘電率実数部によって変化し、また、同時に、共振ピ-ク強度が木材とそれに含まれる水分の誘電率虚数部(損失)によって減衰することを利用することで,その共振周波数変化と共振ピ-ク強度とを測定することにより、木材の重量と含水量とを同一箇所で同時に瞬時に(msec以下)計測する実験を行い,十分な基礎的デ-タを得た。当初,木材を方形共振器(共振周波数3GHz)の10mmのギャップに入れて、その透過波を観測して、共振周波数の周波数シフト量と共振ピ-ク電圧の減衰量を測定していたが、角材のような大きな木材では減衰量が大きすぎて,この共振器では測定できなかった。 そこで,スロットアンテナ型方形共振器を試作し,その切り込みから洩れるマイクロ波を利用して,木材の側面にあてて,同様な実験を行い,共振周波数の周波数シフト量と共振ピ-ク電圧の減衰量(または、共振曲線の半値幅)を測定できた。その為に,十分に大きな木材でも側面より,木材の重量(密度)と含水量とを計測できることがわかった。試作器として,計測ソフトをROM化し,コンパクトなシステムにできた。木材用の重量・水分グレ-ダ-としの,今後の技術的な問題としては,電圧制御マイクロ波発振器の温度のふらつきによりマイクロ波周波数が変動し,測定精度に影響するので,発振器の温度PID制御や,マイクロ波共振器の温度安定化も重要であることが分かった。また,木質の違いや木目の方向性の違いもあり,それらの影響などの測定を行いたい。
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