研究概要 |
海産緑藻に特徴的な香気成分として長鎖アルデヒド類を同定し、このものは脂肪酸を前駆体として生合成されることを提唱している。ここでは、起源の明確な藻体を得るために、緑藻アナアオサのプロトプラストより再生した葉状体と、そのものをアルギン酸で固定化した生細胞における長鎖アルデヒド生成活性および基質特異性を比較精査した。 アナアオサ(UIva pertusa)は秋穂海岸(山口市)で採取後、抗生物質を含む海水に浸漬したものを実験に供した。セルラ-ゼ、マセロチ-ム、ドリスラ-ゼの混合酵素を用いてプロトプラストを単離した。そのものを抗生物質を含むPES培地中で蛍地中で蛍光照射下に14℃で培養し、葉状体へと再生し、通気下に培養を続けることによって純粋培養藻体を調製した。培養藻体の主要揮発成分は、(8Z,11Z,14Z)ーheptadecatrienal(HDT),(8Z,11Z)ーheptaーdecadienal(HDD),(8Z)ーheptadecenal(HD)など、C_<15>〜C_<17>アルデヒドであった。一方、培養藻体の粗酵素液に基質(αーリノレン酸、リノ-ル酸。オレイン酸)を添加して35℃で15分間反応した。その生成物の分析から、HDT、HDD、HDは、アオサ藻体の特徴的な揮発成分で、藻体起源の酵素によって脂肪酸を前駆体として生合成されることが再確認された。他方、再生細胞のアルギン酸固定化細胞は、非固定化細胞より高い長鎖アルデヒド生成活性を示すことが明らかになった。
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