研究概要 |
本研究にて開発している純油圧マニピュレ-タの特徴の一つは重量物(先端持ち上げ荷重20kgf)の運搬が可能なことである。この特徴を発揮するため,汎用性の拡張の前に当初の作業目標をスイカ収穫として,新たにスイカ収穫用の純油圧ハンドとスイカ認識システムを開発した。 スイカ収穫用ハンドのスイカとの接触部には,ゴム(粘弾性体)と水(液体),空気(気体)を組み合わせたパッドを取り付け,スイカを傷つけることなくハンドリングできるように配慮した。スイカのハンドの位置制御はサ-ボ弁と比例弁を用い,フィンガの位置制御とパッド圧力制御が協調して行える制御回路を開発した。 スイカの認識について,これまでの農業用ロボットはカラ-情報にて葉と果実の認識,あるいは果実の熟度の認識を行ってきたが,スイカの場合果実と葉が同色であるため,カラ-情報によるスイカの認識が不可能である。このため,車載を想定した扇風機の風により葉を動かし,静止画像(スイカ)と動画像(葉)の区別によりスイカを認識する新しい方法を採用した。開発した動画像処理アルゴリズムにて葉と区別してスイカが認識できた。 マニピュレ-タの制御については,本補助費で購入したOS-9のマルチタスク機能により,5つの関節駆動用のシリンダの協調制御が可能となり実用化に一歩近づいた。 平成3年度の研究計画の達成については,新たな油圧ハンドの製作,画像認識アルゴリズム及び制御プログラムの作成については予定通り達成でき,ベンチテストにて機能確認が行えた。しかしハンドの試作,画像処理アルゴリズムの開発等の要素技術に時間を費やしたため,油圧マニピュレ-タの車載及び実作業での確認が平成4年度送りとなった。
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