研究概要 |
油圧マニピュレータの特徴は持ち上げ荷重が大きいことである。このため本研究の対象作業をスイカ収穫としてスイカ収穫用の油圧ハンドを試作,油圧マニピュレータとハンドを市販のバギーに搭載したスイカ収穫ロボットを製作,これを用いてほ場実験を行った。この結果ハンドの先端に取り付けた衝撃吸収用のパッドがスイカ把持時に土と干渉する等,細かな問題点はあったが,マニピュレータとハンドについては位置決め精度,再現性とも農業用ロボットとして十分な性能を有していることが明らかとなった。 選択収穫を実施するためには,ロボットが自らほ場でスイカの収穫適期を判定することが要求される。このため熟度によるスイカの物理特性と打撃時の波動伝播特性の変化を計測した。1軸試験によりスイカの縦弾性係数は測定でき,成熟に伴う変化の傾向は一致したが値の個体差は大きかった。打撃により生じる波動の速度変化は,縦弾性係数を密度で除した値の平方根の傾向と一致したが,個体差が大きく打撃だけで熟度を判定することは難しい。 室内実験にて成功した動画像処理によるスイカ識別は,ほ場では葉が多く,室内実験のままでは識別は困難であったが,スイカの果実と葉のRGB濃度分布の差による識別と,動画像処理を組み合わせれば識別できる可能性が高いことが明らかとなった。 マニピュレータの位置保持精度に関して,油圧制御弁の内部リークによるマニピュレータのハンティング現象は,制御弁の固有振動数によるものではなく,流体力によるものであることを明らかにした。またマニピュレータのパラメータ同定を行い動特性を把握した。これにより所定の位置保持機構のソフト面での改善対策による性能向上が計れた。
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