研究概要 |
棚栽培されているブドウを対象とし,その管理および収穫作業を行うロボットの開発を目的として基礎的研究を本年度から始めた。その概要は以下の通りである。 1.視覚部:(1)果実,葉,茎,果柄等の識別のため,視覚センサが感度を有する可視領域から近赤外領域までの成長段階別のブドウ各部と含水比の変化した土壌の分光反射特性を分光光度計で測定した。(2)分光反射特性の違いから,各部を識別するための波長帯域を品種ごとに求めたところ,緑色系の果実であるマスカットは550,670,850nmが,赤色系の果実であるデラウエアおよび黒色系の果実であるキャンベルは500,550,670nmが適当と考えられた。(3)ブドウ収穫実験のため,視点を移動する方法で3次元位置を検出するソフトウエアを作成した。 2.ハンド部:(1)果樹園においてブドウの果実の配置および大きさ等の測定を行った。(2)果柄および茎を把握し,切断するために切断抵抗,摩擦抵抗等を測定した。(3)切断抵抗および摩擦抵抗のデ-タを基にして把握,切断および押出しの3つの機能を有するハンド部を試作した。(4)そのハンド部を用い,室内でブドウの収穫基礎実験を行ったところ,ほぼ良好に収穫可能であった。 3.マニピュレ-タ部:(1)果樹園におけるブドウ果実の3次元位置のデ-タを基にして,5自由度を有する極座標マニピュレ-タをサ-ボモ-タ,DCモ-タ等を用いて試作した。(2)マニピュレ-タをCP制御するソフトウエアを作成し,ブドウ棚の下方を水平に等速度で移動可能とした。 4.走行部:マニピュレ-タおよび制御部等を運搬可能な台車として,コンバイン用台車を使用することとした。 次年度は,視覚部,マニピュレ-タ部,ハンド部を組み合せて収穫基礎実験を行う予定である。
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