研究の経過 平成2年度および3年度に、従来の播種機と異なる種子埋設輪を装着した新しい方式の湛水土壌中直播機を試作した。この直播機は、現在市販されている機械に比較して、種籾の播種深度をあらかじめ設定した深さに播種できる精度が飛躍的に向上した。 しかし、代かきをして間もない軟らかい土壌状態の水田に播種すると種籾の播種位置が定まらず、深さも不安定になると言う現在の市販機同様の状態を示した。 研究結果 現在市販されている湛水土壌中直播機は、水田土壌硬度計で測定して50±5mmの範囲内で比較的安定した播種が可能である。しかし、この範囲を外れると深さが不安定になり、苗立率も低下する。感覚的にこの硬さの土を表現すると、羊姜状の硬さである。 ところで、兼業農家が多くなった現状の米作りでは、代かきをしてから羊姜状の硬さになるまで時間をかけて土を落着かせ、田植えや播種をする農家は少なく、土がまだ軟らかい間に作業をする人が多い。この時の土壌硬度は、65〜70mm程度である。 そこで、本年度は特に軟らかい水田で安定した播種深度を確保することを目標に研究を行なった。この結果、土壌硬度が100mm以上の極端に軟らかいほ場でも播種可能な湛水土壌中直播機の試作に成功した。これには、新らしく開発した種子導管が大きく寄与した。
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