研究概要 |
組織培養法により作られたウィルスフリ-苗の供給が普及しつつあるが,その生産費の60〜70%が人件費であるといわれているように,大量に供給するには大きな障害となっており,タンク培養などが試みられているが,ガラス化などの生理障害などの発生が報告されている。そこで生育期間が短縮できかつこのような生理障害のない手法の開発が本研究の目的である。 組織培養でえられた小植物体を育苗・順化ステ-ジに移行させると,小植物体の生長速度が著るしく低下する場合が多い。その原因を明らかにするため,培養器の換気回数と小植物体の光合成,蒸散に関して検討した。 葉1枚を有するバレイショを用いた実験では,水蒸気飽差を増すにつれ,葉面積あたりの蒸散速度は増加した。また,換気回数の少ない培養器内で生育した小植物体は,換気回数の多い培養器内で生育したものに比較して,高相対湿度下でも多量の水分を放出することが判明した。 また光合成速度に関しての実験では,培養器の換気回数が多い区ほど明期における培養器内の炭酸ガス濃度が高く,純光合成速度が大きいことが判明した。したがって,培養器の換気回数が多いほど,小植物体の生長が促進されることが確認された。 今後はさらに詳細に調べる予定であり,さらにガラス化の発生等との関係を明らかにする予定である。
|