研究概要 |
本研究では,相対湿度の異なる培養器内で,バレイショ小植物体を培養し,その蒸散速度,純光合成速度及び生長の比較,検討を行なう一方,培地特に,寒天培地の物質移動特性の測定,さらに各培養器の換気特性に関して解析した。 まず相対湿度区100%,93%,84%,75%の4区を設置し,蒸散速度及び葉面積あたりの蒸散速度を測定した。蒸散速度は相対湿度が低い試験区ほど大きく,75%区は100%区の約2.2倍であった。一方葉面積あたりの蒸散速度もやはり相対湿度の低い試験区ほど大きくなる傾向がみられたが,時間の経過とともに差がなくなった。 順化開始時にポロメ-タにより測定し葉面蒸散低抗は相対湿度の低い試験区ほど大であり,小植物体からの過度な水分放出を抑制していることが判明した。 培養器内の炭酸ガス濃度は相対湿度が高い試験区ほど,その減少が多く,低く経過した。したがって純光合成量は,相対湿度の高い試験区ほど大きいことが判明した。 通常使用されている寒天濃度は0.6〜1.0%であり,そのマトリックポテンシャルは約-0.5kPaで,浸透ポテンシャルに比較して無視できること,また透水係数は濃度の増加とともに減少し,10^<‐5>〜10^<‐7>cm/secの範囲であることが判明した。 各種のフィルタ-付培養器の換気特性に関しては,温度差による自然換気のみでなく,クリ-ンル-ム内の強制気流,場所によっては気流速が2m/secを越えるため,その気流速による換気が大きく,クリ-ンル-ム内での培養器の設置位置にも十分配慮する必要があることが判明した。
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