レセプタ-結合活性に基づく微量プロラクチン測定法の開発とその応用

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02556037
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 酒井 仙吉 東京大学, 農学部, 助教授 (80114487)
• 研究分担者: 青木 不学 東京大学, 農学部, 助手 (20175160) ; 河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
• キーワード: プロラクチン / ラジオレセプタ-アッセ- / ラジオイムノアッセ- / レセプタ-

研究概要

プロラクチンは、そのレセプタ-と特異的に結合する。この特異的結合を利用すれば、血中の生物活性を持つプロラクチンを定量出来る。この目的のため、レセプタ-を多く含む乳腺ミクロゾ-ム分画が使用されている。しかし、操作の難かしさと、又、生物物質であることにより、高い再現性を得ることは困難であった。本研究ではこの問題を解決するために(1)ミクロゾ-ムを可溶化しアフィニティ-カラムで精製し、レセプタ-量を一定に調製しバラツキの原因を除く、(2)このレセプタ-をニトロセルロ-ス膜に吸着し分配に基ずくバラツキの原因を除く事を行ない以下の成果を得た。ニトロセルロ-ス膜に固定したレセプタ-は、レセプタ-としての本来の性質を保っていた。プロラクチンとの結合係数も高く、血中レベルのプロラクチンの測定が出来ることを示していた。それを実証するため、ウシ血清を用いてプロラクチンを測定し、従来から広く用いられているラジオイムノアッセ-と比較した。本方法ではアッセ-内及びアッセ-間の変動係数が共に約10%であり実用の範囲内であった。血清をゲルロ過すると分子量23,000のプロラクチンとのみ反応し、又、他の物質による非特異的な反応も認められなかった。ラジオレセプタ-アッセ-とラジオイムノアッセ-により求めた測定値においても、相関係数が+0.99とほとんど同一の結果が得られた。その絶体量においても同一の値が得られた。最も優れた性質として、4〜5時間で測定が終了することからじん速な測定が行なえる。本研究年度内に実用化に向けての総ての問題を解決し、ニトロセルロ-ス膜固定レセプタ-を用いたラジオレセプタ-アッセ-法を確立した。

研究成果

• [文献書誌] 酒井 仙吉: "乳腺プロラクチンレセプタ-" 日本畜産学会報. 61. 469-480 (1990)
• [文献書誌] SAKAI,S.,SUZUKI,M.KOHMOTO,K: "Thermodynemic analysis of the interaction of prolactin with its receptor in the rabbit mammary-gland miassones" Biochemical Journal. 269. 647-650 (1990)
• [文献書誌] SAKAI,S.,YAMAMOTO,K.NAGASAWA,H: "Prolactin and progestersne receptors in pregnancy-dependeut mammary tumsrs in GR/A mice" Proceeding of the Society for Experimental Biology and medicine. 195. 375-378 (1990)
• [文献書誌] SAKAI,S: "Effect of hormone on disiociatuio of prolactin from the rabbit mammary gland prolactin receptor" Biochemical Journal. 279. 461-465 (1991)
• [文献書誌] SUZUKI,M.,KOHMOTO,K.,SAKAI,S: "Radio receptor assay of serum prolactin using nitrocellulose memlerne-immobilized mammary prolactin receptor" Analytical Biochemistry. 200. 42-46 (1992)
• [文献書誌] SAKAI,S.: "Effect of administralion of actinonrycin D and protein syntheis inlibitors on the binding of prolactin to the mammary gland receptor" Animal Sience and Technology. 63. 1-7 (1992)