研究概要 |
ウシ白血病の初期病態を明らかにする目的で,持続性リンパ球増多症(PL)の実験的作出を試み,その病態を免疫病理学的に検討した。 実験方法および成績(表1&2):ウシ白血病ウイルス(BLV)感染リンパ球増多を示したDonor牛の未梢血リンパ球を8頭の子牛に静脈内接種した。3〜12ヶ月後に7頭にPLが誘発された。それら症例の未梢リンパ球は,24時間短期培養の電顕的観察で多数のウイルス粒子が観察された。よたそれら細胞は抗BLV血清を用いた蛍光抗体法で陽性を示した。なお,PLに先立ち接種7〜28日目より全例共通的にTリンパ球(CD_4,CD_8)は減少し,1gG陽性のBリンパ球が増加した(T/Bリンパ球比の逆転現象).180〜730日後に剖検されたPL牛の3例には,肉眼的に明らかな腫瘍性変化は認められなかったが,組織学的に芽球化リンパ球を満した大型化リンパ濾胞の増生像が認められた。それら増生性のリンパ濾胞に,時折腫瘍関連抗原(CEBL-2)陽性の細胞が見出され,また抗BLV血清でBLV抗原が検出された。 結論:PLリンパ球を大量投与することにより,PLが3代連続で誘発された。リンパ球の増数に先立ち明らかなT・Bリンパ球比の逆転が認められ,Bリンパ球の持続性増多が特徴的であった。以上の成績に加えて行わなれた病理形態学的所見とともに,リンパ濾胞はBLVの増殖の場で,ウシ白血病の初期腫瘍化巣であることが強く推意された。
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