研究課題/領域番号 |
02556040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 啓 東京大学, 農学部, 教授 (90011874)
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研究分担者 |
伊達 宗宏 理化学研究所, 研究員 (50087409)
西村 亮平 東京大学, 農学部, 助手 (80172708)
佐々木 伸雄 東京大学, 農学部, 助教授 (60107414)
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キーワード | 変動電磁場 / 電気刺激 / 骨折 / 治癒促進 / イヌ / ウサギ |
研究概要 |
微小電流刺激による骨折の治癒機転の促進を目標として、平成2年度に引き続き、骨折モデルを作成した兎に対し、いくつかの条件の変動電磁場(PEMFs)を照射し、その効果を検討した。その結果、もっとも高い治癒促進効果が得られる条件の一つは、磁場強度2Gauss(G)、周波数10Hz、パルス幅25μsecであると考えられた。 次に、犬に対し、骨折モデルとして尺骨に骨欠損を作成し、上記の結果に基づいた条件で同様の検討を4週間まで行った。ただし、対象となる骨が大きくなることから、周波数およびパルス幅は兎の場合と同値としたが、磁場強度については2Gの他、0.5および10Gについても検討した。 その結果、X線学的には、対照群では骨新生像はわずかに認められたが、週を経るに従い、骨吸収によると思われる骨皮質の非薄化が明瞭となった。一方、照射群の2G群では、2週後より骨新生像が認められ、以後増加の傾向を示した。0.5および10G群は、わずかな骨新生像が認められるのみであった。組織学的には、対照群で6週でも線維組織が大部分を占めていたのに対し、照射群、特に2G群では、2週後で多数の毛細血管新生が認められ、4週後には多くの骨組織が認められた。照射群では全般的に早期から軟骨組織および骨芽細胞が認められた。血流量は、0.5および10G群では対照群と大きな差は認められなかったが、2G群は大きく上回っていた。コラ-ゲン量は、0.5Gで対照群より低値を示したものの、2および10G群では高値を示し、特に2G群は4週後でかなり高値を示した。 以上の結果から、犬においても今回用いた条件下で変動電磁場を利用した微小電流刺激法は、少なくとも骨折治癒の初期段階に対して治癒促進効果を示すと考えられた。
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