研究分担者 |
藤本 悦子 神戸大学, 医学部, 助手 (00107947)
藤坂 伸一 浜松ホトニクス, 研究部(メディカルホトニクス), 研究員
佐藤 勝彦 浜松ホトニクス, 研究部(メディカルホトニクス), 室長
遠山 稿二郎 岩手医大学, 医学部, 助教授 (10129033)
三木 明徳 神戸大学, 医学部, 助教授 (20144561)
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研究概要 |
I.はじめに:エキシマレーザーは、CO_2レーザーやYAGレーザーとちがって、熱の発生なく組織を切ることができるのが特徴である。この性質を利用して、中枢神経特に脊髄の組織を切り、ナイフや凍結処理による損傷の場合と比較して、損傷後の修復がどのように改善されるかを調べた。用いたレーザーはKr-Fで波長248nmである。 II.照射条件:パルスあたりのエネルギー密度、パルス数、照射面積の3要素について脊髄組織の切断の程度との相関を調べた。動物はラット(ウィスター、体重250-300g)を用い、脊髄後索を実験材料とした。その結果、損傷実験には、30mJ/pulse,5Hz×1sec,16mm×0.2mm(つまり4.69J/cm^2)を標準条件とした。このとき切開創の深さは約100μmであった。エネルギー密度がこれより低いと切開の程度が浅すぎ,これより高くなれば切開が十分深くないにも拘らず,切られた組織が飛び出して大きくカールしてしまう。神経線維の切断面は一般に鋭利であった。切断部近傍では、軸索と髄鞘が開離し,グリア細胞が破壊されていた。これは照射によって発生する弾性波のためと考えられる。 III.損傷組織の修復:上の実験条件の下で、切開された脊髄の修復を3日〜28日にわたり経時的に調べた。損傷部は軸索と髄鞘が破壊され、出血がある。時に脱髄して裸となった軸索も見られた。7日になると、損傷部には無髄の軸索とグリア細胞あるいはシュワン細胞が多くなり、成長円錐と思われる軸索の膨大部も見られた。軸索は次第に髄鞘に被われ血管の増加も認められた。ハサミや凍結による損傷の場合より良好な修復と考えられた。 IV.四関節のアームによって導光し、手術用顕微鏡下で直視しながら微細な切断ができる装置を作成した。 V.問題点:a.まわりの組織の変化と損傷が大きい。b.照射条件が一定しない。c.血液など体液によって大きな影響を受ける。d.結合組織は切りにくい。
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