研究課題/領域番号 |
02557009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日高 弘義 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
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研究分担者 |
徳光 浩 名古屋大学, 医学部, 助手 (20237077)
渡辺 正人 名古屋大学, 医学部, 助手 (30220924)
小林 良二 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00020917)
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キーワード | プロテインキナーゼ / プロテインキナーゼ阻害剤 / 阻害剤データベース |
研究概要 |
蛋白質燐酸化反応を触媒するプロテインキナーゼは、近年ますますその重要性が示唆され、またその多様性も増している。こうした現状を鑑みると、各プロテインキナーゼの構造的・機能的研究は必須である。我々は、独自に創製した阻害剤とそのデータベースから検索した選択的阻害剤を用いて、各プロテインキナーゼの生理的機能を明かにしてきた。本年度は、更に細胞運動・分泌現象や細胞増殖・分化に於けるカルモデュリンキナーゼII(キナーゼII)の生理的役割について明かにした。既ち、インスリン分泌細胞からのインスリンの分泌がキナーゼIIによって制御されていること、エンドセリンに依る心房細胞からの心房利尿ホルモンの分泌にキナーゼIIが必要なこと、等をin vivoに於て証明した。また我々が新しく発見したカルモデュリンキナーゼVがキナーゼII同様、KN-62に依って阻害されることも明かにし、カルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素のカルモデュリン結合部位に相同性が有ることを間接的に証明し得た。その他のプロテインキナーゼに関しては副腎皮質ホルモンによるc-fos m RNAの増加、或いは、PC12細胞に於けるカルシウム流入に依って引き起こされるimmediate earlygeneのインダクションに、cAMP依存性蛋白質燐酸化酵素が重要な役割を果たしていることを、夫々、H-89を用いて明かにした。加えて現在最も注目を集めているMitogen Activated Proteinキナーゼ(MAPキナーゼ)の下流に位置する新しいプロテインキナーゼを特異的に阻害する新しい阻害剤をコンピューター分子設計支援システムのデータを基にして発見することに成功した。この様に、各プロテインキナーゼの生理的機能を明かにし、また阻害剤データベースを基にした新しいプロテインキナーゼ阻害剤開発成功に依って当初の目的はほぼ達成されたと考える。
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