脳内神経伝達物質受容体に対する抗体を用いた神経回路網の免疫組織化学的検索法の確立

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02557011
• 研究機関: 京都府立医科大学
• 研究代表者: 栗山 欣弥 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20079734)
• 研究分担者: 廣内 雅明 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70181196) ; 桂 昌司 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80204452)
• キーワード: GABA_A受容体 / GABA_B受容体 / ド-パミン作働性ニュ-ロン / 免疫組織化学 / 純化精製 / 免疫抗体作製

研究概要

GABA_A受容体免疫抗体を用いて、脳内における本受容体の局在を検討すると共に、GABA_B受容体に対するモノクロ-ナル抗体作製の準備を目的として、GABA_B受容体のアフィニティ・カラムクロマトグラフィによる純化精製を行った。
1.GABA_A受容体/ベンゾジアゼピン受容体/Cl^-チャネル複合体抗体を用いて、そのラット脳における局在を免疫組織化学的に検討したところ、(1)神経終末ネットワ-クの密な部位:小脳顆粒細胞層、嗅球外網状層、網膜内網状層、(2)細胞体とこれより分枝する神経線維に密な分布を示す部位:Calleja島、淡蒼球とその前部、黒質網状部、(3)微細でdiffuseな局在を示す部位:尾状核・被蓋、大脳皮質、海馬、(4)弱い免疫反応を示す部位:視床下部核、視床核、の4群に分けられ、不均一な局在を示すことが判明した。
2.6ーヒドロキシド-パミンで黒質のド-パミン・ニュ-ロンを一側性に破壊すると、同側の淡蒼球内のGABA_A受容体複合体が減少を示すことが判明した。
3.サルの小脳においても、ラット小脳の場合と同様に、顆粒細胞層にGABA_A受容体複合体が密に分布していることが判った。
4.GABA受容体のもつ一つのサブタイプであるGABA_B受容体に対する免疫抗体を作製するため、先づGABA_B受容体蛋白の精製を試みた。バクロフェンを固定化リガンドとするアフィニティゲルを用いてカラムクロマトグラフィを行ったところ、約2,800倍の精製倍率を持った分画が得られ、その分子量は約60,000であることが判明した。現在、このGABA_B受容体分画を用いて、本受容体に対するモノクロ-ナル抗体も作製中である。

研究成果

• [文献書誌] H.Mizumani Y.Ohmori K.Kuriyama: "Neurochemical Studies on GABA receptor (XXVIII) Purification of cerebral GABA_B receptor by affinitycolumn chromatography and its characterization." Japanese Journal of Pharmacology. 55. Suppl.I-165p (1991)
• [文献書誌] 栗山 欣弥 田口 淳一: "薬の作用とGABAレセプタ-" Brain Medical. 2. 35-44 (1990)
• [文献書誌] Y.Ohmori K.Kuriyama: "Partial purification of γーaminobutyric acid_B receptor from bovine brain." Clinical Neuropharmacology. 13. Suppl.2 392-393 (1990)
• [文献書誌] 栗山 欣弥 廣内 雅明: "GABA受容体の分子機構" 生化学. 62. 555 (1990)
• [文献書誌] J.Taguchi H.Okamura Y.Ibata K.Kuriyama: "Immunohistchemistory of GABA_A receptor complex in central nervous system." Neuroscience Research. (1991)
• [文献書誌] 廣内 雅明、大熊 誠太郎、馬 福海、栗山 欣弥: "GABA_A受容体α、サブユニットmRNAの発現" 神経化学. 29. 64-65 (1990)
• [文献書誌] 栗山 欣弥・廣内 雅明: "脳と遺伝子(永津俊治他編)" 平凡社(東京), (1991)
• [文献書誌] K.Kuriyama Y.Ohmori: "GABA_B receptor in Manmalian Function.(N.G.Bowery et al eds.)" Wiley Publish.Co(New York), 11 (1990)