本研究は、補体レセプタ-、CR1の免疫複合体を結合する細胞外部分と細胞膜に結合する性質を持つ(decayaccelerating factor(DAF)のフォスファチジルイノシト-ル(PI)部分とで、キメラ蛋白を作成し、SLEやエイズ患者の赤血球に戻してやることにより、生体を利用して、免疫複合体を排除しようとするものである。 研究代表者が筑波大学より、福島県立医科大学に移り、しかも当医科大学では、新設講座であり、研究室、研究設備等も皆無であったため、研究の進展が大幅に遅れたことが反省される。しかし、平成3年3月には、研究室が完成し、設備備品も購入され、4月からは本格的に本研究を開始できる。 本年度は、協同研究者の中内博士の研究室にて、CR1のcDNAをreverse PCR法で得るためにプライマ-の作製を開始した段階である。CR1遺伝子のcDNAの全長は、7kb以上にも及び、全体を増幅することは、不可能なので、N末端側のC4b結合ドメインをシグナル配列を含めてまずクロ-ニングを行う。5'側、3'側とも制限酵素の切断部位を含めて、プライマ-を作製する。CR1を発現しているHL60からmRNAを抽出し、常法にしたがって、増幅を行う。このようにしてC4b結合部位をクロ-ニング出来たならば、同様の方法でC3b結合部位をクロ-ニングする。制限酵素で両端を切断し、ligationする。同様にすでに入手しているDAFのcDNAのPIアンカ-部分をligationし、ベクタ-に連結し、Lーcellに発現させる。この細胞を用いて、CR1の活性を測定する。このように来年度は、新たな研究者を加え、キメラ蛋白の作成に全力をあげる。
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