分析に必須の機器であるタンデム式ガスクロマトグラフ(自動サンプラ-付)を設置し、習熟運転を行い、十分活用し得るようになった。市販ディスポ-ザブル・プラスチック注射器(2.5ml)2個を用い、うち1個はそのまま、他の1個は鍔より2cmの所で切断して両者を鍔の部分で、かつ多孔性プラスチック膜(「セルポア」)を挾む形で連結したものを作成した。注射筒部分に蒸留水2mlを入れ、切断面を下方にして垂直につるしたものを個人サンプラ-として用いた。既設の有機溶剤蒸気曝露装置を用いて、最も多用されている親水性溶剤であるメタノ-ルとアセトンについて各種濃度の蒸気を、かつ一定濃度で8時間にわたって発生させ、その中で上記の個人サンプラ-を一定時間曝露したのち、蒸留水(捕集機)1mlを回収し、メタノ-ルあるいはアセトンの吸着量を上記のガスクロマトグラフ・システムを用いて測定したところ、このサンプラ-はメタノ-ルとアセトンのいずれについても現行許容濃度をはるかに上廻る濃度まで、かつ4時間あるいはそれ以上にわたって、濃度および時間に比例した量の溶剤を吸着することがわかった。この特性を実証する目的で、メタノ-ル曝露職場およびアセトン使用職場の作業者に装着し、作業時間(約8時間)にわたっての気中溶剤濃度を測定するとともに作業終了時の尿を検体として尿中メタノ-ルおよびアセトン濃度を測定し、気中濃度と尿中濃度との対応を検討したところ、有意な相関関係が証明された。
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