2種の親水性溶剤用拡散型個人サンプラーの開発に成功した。1つは水を捕集剤とするもので、2個の2.5mlプラスチックス製ディスポーザブル注射筒を活用し、その1個はそのまま、他の1個はツバより2cmの所で切断して、両者のツバの部分に半透膜であるセルポアNW-11を挟んで接着固定した。注射筒内に蒸留水3mlを入れ、注射針との連結部を上にして、被検者の胸部に装着する。水は半透過膜を介して気中の親水性溶剤蒸気を吸着・捕集する。今1つのサンプラーはシリカゲルAを捕集剤とするもので。シリカゲルA(20〜30メッシュ、1.2g)を内径9mm、長さ50mmのプラスチックス製円筒に入れ、その一端は密閉、他端には直径5.7mmの開口部をもうけ、半透膜セルポアNW-11を介してシリカゲルと外気とが接触し得るように設計した。流動型有機溶剤曝露発生装置を開いて水を捕集材とするサンプラーをアセトン蒸気に最高1000ppmに最長8時間、あるいはメタノール蒸気最高4000ppmに最長8時間曝露したところ、捕集量は曝露濃度と曝露時間の積に比例した。さらにそれぞれの最高濃度に15分間曝露したところ、長時間曝露から推定される吸着量に比して80%以上の回収率を示した。同様にシリカゲルを捕集剤とするサンプラーを酢酸メチル蒸気に最高1600ppmに最長8時間曝露した場合にも捕集量は曝露濃度と曝露時間の積に比例し、1600ppm×15分曝露時の回収率は108%であった。以上の所見はそれぞれ水を捕集材とするサンプラーはメタノールおよびアセトン測定用に、またシリカゲルを捕集剤とするサンプラーは酢酸メチルの測定用に十分な機能を有することを示している。但し水を捕集剤とする場合、酢酸メチルは自然脱着が早く測定し得ない。
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